創造的復興の植樹活動 ― 石川県七尾市にてー【レポート】

レポーター:加藤 ナルミ (研 進)
2025年11月4日(火)~8日(土)にかけて、石川県七尾市で620本の植樹が行われました。
この事業は、能登半島地震の震災復興の一環として、一般社団法人 地球守・有機土木協会が請負っています。今回、同協会の代表理事 高田宏臣様とのご縁で参画させていただきました。高田様とは、これまで、千葉や埼玉、山梨、宮城県石巻市等、様々な植樹事案で連携しご指導いただいています。
石川県七尾市では、植樹された620本の内、520本を進和学園で手配し、ご購入いただいております。植樹を行った5日間は天候に恵まれ、翌日から雨に変わりました。
この事業は、能登半島地震の震災復興の一環として、一般社団法人 地球守・有機土木協会が請負っています。今回、同協会の代表理事 高田宏臣様とのご縁で参画させていただきました。高田様とは、これまで、千葉や埼玉、山梨、宮城県石巻市等、様々な植樹事案で連携しご指導いただいています。
石川県七尾市では、植樹された620本の内、520本を進和学園で手配し、ご購入いただいております。植樹を行った5日間は天候に恵まれ、翌日から雨に変わりました。
◆背景
この敷地は、2024年1月1日の能登半島地震で深刻な被害を受けた七尾市内の一画に当たります。裏手には水源(農業用水を供給するため池)の森があり、敷地の一部に谷筋からの水の通り道があります。50年以上前、ここにヒューム管が埋められ盛土されました。この盛土された箇所に滞水が起こり、地震をきっかけに大きな陥没、地割れ、液状化が発生したのです。
◆地域復興
この場所は、能登半島地震の際、避難所として開放され、ここを拠点に地域の復旧がいち早く進みました。
地主の方は「地域のため、水源地の森の機能(水源涵養機能等)を再生させなければならない」と自らの資金を捻出して、2024年6月から震災復興環境改善事業をスタートさせました。何十年先を見据えた持続可能な改善策を講じるため、有機土木工法が採用され復旧する運びとなりました。
▶写真3 :地震で陥没した渓谷を活かし崖壁面に石組・丸太井
桁を組む。
この敷地は、2024年1月1日の能登半島地震で深刻な被害を受けた七尾市内の一画に当たります。裏手には水源(農業用水を供給するため池)の森があり、敷地の一部に谷筋からの水の通り道があります。50年以上前、ここにヒューム管が埋められ盛土されました。この盛土された箇所に滞水が起こり、地震をきっかけに大きな陥没、地割れ、液状化が発生したのです。
◆地域復興
この場所は、能登半島地震の際、避難所として開放され、ここを拠点に地域の復旧がいち早く進みました。
地主の方は「地域のため、水源地の森の機能(水源涵養機能等)を再生させなければならない」と自らの資金を捻出して、2024年6月から震災復興環境改善事業をスタートさせました。何十年先を見据えた持続可能な改善策を講じるため、有機土木工法が採用され復旧する運びとなりました。
▶写真3 :地震で陥没した渓谷を活かし崖壁面に石組・丸太井
桁を組む。
◆有機土木
自然との共生や資源の循環に重きをおいた日本の伝統的土木技術です。木材や落ち葉、割グリ石、廃材(コンクリート、瓦)、ワラ、炭、燻炭といった土にかえる有機物を使い、さらに微生物、土壌動物、植物など、生き物が生存する下地を造り、土中を改良、浸透力を高め、水の動きを生み出していきます。健全な大地を育みながら、安定した強い地盤を目指しています。
◆植樹
樹種は、地域の潜在自然植生が選定されます。植栽地の条件によって樹種を組合せ、自然を模写した苗木の配置、向きを決め、植樹します。植物の力で土中の涵養力を高めます。
自然との共生や資源の循環に重きをおいた日本の伝統的土木技術です。木材や落ち葉、割グリ石、廃材(コンクリート、瓦)、ワラ、炭、燻炭といった土にかえる有機物を使い、さらに微生物、土壌動物、植物など、生き物が生存する下地を造り、土中を改良、浸透力を高め、水の動きを生み出していきます。健全な大地を育みながら、安定した強い地盤を目指しています。
◆植樹
樹種は、地域の潜在自然植生が選定されます。植栽地の条件によって樹種を組合せ、自然を模写した苗木の配置、向きを決め、植樹します。植物の力で土中の涵養力を高めます。
◆2025年 春の植樹
有機土木工法で地盤造成された1075㎥に14樹種790本を植樹しました。
有機土木工法で地盤造成された1075㎥に14樹種790本を植樹しました。
◆2025年 秋の植樹
秋の植樹は、春の植栽地へ120本を補植し、秋の渓谷施工地へ500本を植樹しました。
秋の施工地は、地震によって大きな陥没が生じた場所です。50年以上前に埋められたヒューム管を16m撤去し(写真2参照)、撤去後、土を埋め戻さず、幅7.5m×20m、深さ7m、転び1分の渓谷を活かし、石組・丸太井桁が組まれました。(写真3・8参照)
この石組・丸太井桁の小段に腐葉土、落ち葉、炭、燻炭の有機物が充填され、500本を植樹しました(写真5・9参照)
秋の植樹は、春の植栽地へ120本を補植し、秋の渓谷施工地へ500本を植樹しました。
秋の施工地は、地震によって大きな陥没が生じた場所です。50年以上前に埋められたヒューム管を16m撤去し(写真2参照)、撤去後、土を埋め戻さず、幅7.5m×20m、深さ7m、転び1分の渓谷を活かし、石組・丸太井桁が組まれました。(写真3・8参照)
この石組・丸太井桁の小段に腐葉土、落ち葉、炭、燻炭の有機物が充填され、500本を植樹しました(写真5・9参照)
◆創造的復興
能登半島地震後、2024年6月から石川県七尾市で有機土木工法による震災復興環境改善事業が施されました。1年半におよぶ工事は「何百年・何千年と続く強い地域づくり」の理念のもと、有機土木による前例のない試みは、高田様率いる有機土木の有志達、地元中小企業が一丸となり、根気良く勇ましく遂行されました。
極寒の日も猛暑日も、危険と隣り合わせの日が続いたことでしょう。
2025年秋の植樹では、頭上に石や丸太がワイヤーに吊るされて動き、足元は深さ7mの渓谷。現場従事者は、些細なミスが命取りになることを自覚していて、常に声をかけあい、危機管理体制を整えていました。そんな緊迫する現場で気を引き締めながら、時折笑みがこぼれる陽気で活気に満ちた雰囲気。段取り良く連携し合う関係性が築かれていました。それは人と技術、自然の力が融合し、地域を巻き込む復興の姿でした。高田様は、この事業を「創造的復興」と呼んでいました。
地主の方は現場従事者達へ「皆さんは仕事を自分事として目的意識、意義を感じて従事していました。楽しそうに目を輝かせて。これはなかなかできることではない。日本の技術力の原点、精神の在り方を思い起させるものでした」と込み上げる想いを言葉にされていました。
工事が終わった翌朝、事業の中心であった高田様は、ゆっくり現場を歩きながら渓谷に澄んだ水が流れているのを確かめ、瑞々しい気を吸込みながらプロジェクトの成果を感受されているようでした。
現場に従事した有志達も、感慨深そうに眺め、未来に思いを馳せていました。
数年後、七尾の森をみるのが待ち遠しいです。
能登半島地震後、2024年6月から石川県七尾市で有機土木工法による震災復興環境改善事業が施されました。1年半におよぶ工事は「何百年・何千年と続く強い地域づくり」の理念のもと、有機土木による前例のない試みは、高田様率いる有機土木の有志達、地元中小企業が一丸となり、根気良く勇ましく遂行されました。
極寒の日も猛暑日も、危険と隣り合わせの日が続いたことでしょう。
2025年秋の植樹では、頭上に石や丸太がワイヤーに吊るされて動き、足元は深さ7mの渓谷。現場従事者は、些細なミスが命取りになることを自覚していて、常に声をかけあい、危機管理体制を整えていました。そんな緊迫する現場で気を引き締めながら、時折笑みがこぼれる陽気で活気に満ちた雰囲気。段取り良く連携し合う関係性が築かれていました。それは人と技術、自然の力が融合し、地域を巻き込む復興の姿でした。高田様は、この事業を「創造的復興」と呼んでいました。
地主の方は現場従事者達へ「皆さんは仕事を自分事として目的意識、意義を感じて従事していました。楽しそうに目を輝かせて。これはなかなかできることではない。日本の技術力の原点、精神の在り方を思い起させるものでした」と込み上げる想いを言葉にされていました。
工事が終わった翌朝、事業の中心であった高田様は、ゆっくり現場を歩きながら渓谷に澄んだ水が流れているのを確かめ、瑞々しい気を吸込みながらプロジェクトの成果を感受されているようでした。
現場に従事した有志達も、感慨深そうに眺め、未来に思いを馳せていました。
数年後、七尾の森をみるのが待ち遠しいです。
※補足:現場は、NHKの取材を受けていました。2026年2月「心の時代」という番組で高田様達の特集が組まれる予定です。









